ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社

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まちづくり

何のためにMIRAI-LABOは存在するのか。それを誰よりもENEOSは理解してくれる

2020.11.27

インタビュー者紹介

MIRAI-LABO株式会社
代表取締役

平塚 利男 Hiratsuka Toshio

事業の概要

何を目指すのか

環境主義を掲げながら、真似のできない技術で成長する

MIRAI-LABO(ミライラボ)は「環境主義」を掲げて起業しました。2020年で15期目を迎え、すでにベンチャーを超えた実績を残しています。実態は開発型企業、言い換えればメーカーであると言えるでしょうか。企業コンセプトは「常識を覆す省エネ技術の提供を通じて、100年後を見据えた地球環境作創りに貢献します」。これは創業当初からまったく変わらず、現在にいたるまで製品開発やプロジェクト立ち上げの判断基準となっています。いくら利益が見込めても、コンセプトに外れる案件は手がけないくらい徹底して遵守しています。

別の切り口で表現すると、弊社は「知財戦略型」企業でもあります。これは私が作成した造語で、知的財産を保持できる製品のみを開発し、経営の柱に据えるという志を言語化しました。既出の製品やサービスの改善といった領域には進出しません。世界中の誰であっても決して真似できない、唯一無二の製品づくりを心がけています。結論から言えば、こうした企業姿勢を形にした複数の製品が社会で認知され、ENEOSさんとの業務提携にもつながったと認識しています。

MaaS (Mobility as a Service)を創業時に先取り、時代がようやく追いついてきた

弊社の事業領域を象徴する言葉に「MaaS」があります。実は、弊社は創業当初から「MaaS」を先取りしていました。創業時の登記簿には主要業務として「CO2削減」を謳っており、「省エネ型の照明システム」や「自然エネルギー由来の発電システム」を開発して来ました。その間に社会は変革を迫られていき、「MaaS」をはじめ「サスティナブル」など省エネを必須とした新テーマが言語化されていった経緯があります。

それらのテーマに共通したゴールは循環型社会の実現です。弊社が創業時に掲げた「CO2削減」は、まさに循環型社会を促す手段であり、そこで使われる技術を精査していくとMIRAI-LABOが所有する技術に突き当たります。尊大に聞こえるかもしれませんが、時代がこの15年の間に追いついてきたと考えています。

「3つのコア技術」の重ね合わせで、圧倒的な優位性を保つ

弊社を支えるコア技術は3つあります。それぞれ単独でも競合優位性を持ちますが、3つを掛け合わせることにより、前出の「誰にも真似できない」がより強化される仕組みです。具体的に3つをご紹介しますと、高効率のリフレクター技術、電位差のある複数のリチウムイオンバッテリーを無瞬断で切り替える技術、そして路面発電に用いるソーラー発電の技術となります。

リフレクターはLEDの照射距離を伸ばすために反射板を工夫したところがポイントで、江戸時代の十手持ちの提灯がヒントになりました。これにより照明メーカーでは実現できなかった色むら・照度・影などのコントロールが可能になっています。もちろん弊社で特許取得し、更にそれを上回るノウハウを蓄積しています。

次に電位差のある複数のバッテリーを無瞬断で切り替える技術について、これは一度、電気自動車(EV)で役割を終えたEV用バッテリーのリユースを容易にすることもできる技術です。弊社を象徴する製品である“THE REBORN LIGHT”は日産製EVの廃バッテリーを組み込んでいますが、消耗度は個体ごとに違っています。それらを一つの集合体として安定的にコントロールし、電力を供給する際に、この技術が必要になるというわけです。

最後のソーラー関連技術は、柔軟性のある非結晶発電パネルを使うところが独創性の証。太陽光電池を路面に敷き詰める太陽光発電舗装に挑戦しています。

EVバッテリー再利用の街灯“THE REBORN LIGHT”を、復興の象徴に

3つのコア技術は、世界でも弊社だけの特許です。しかしながら、技術を持つだけでは社会への認知や普及はままならず、ましてやMaaSとの関連付けもなかなか理解されません。弊社は、次世代モビリティで必須とされる電気と通信を自律的に安定供給する自律型MaaS社会の実現を目指します。電力会社の電力に頼らず、どうやって安全快適に移動を行うか。その未来像を描くための啓蒙活動の一環として参画したのが、“THE REBORN LIGHT”プロジェクトです。

2019年3月、復興を遂げる福島県の浪江町に自律型の街路灯を設置し、電線が引かれていない道路を明るく照らしました。S字形の流麗なフォルムには、リフレクター、太陽光発電、そして蓄電の技術すべてが投入されており、さらに本体には車のボディであったリサイクル鉄を採用。一灯で循環型社会を体現する設計となっています。また現在では、軽量・小型化した新機種の量産を開始し既に都内や東北地方でも設置が始まっています。

ちなみに本プロジェクトの紹介ムービーがロンドンインターナショナルアワードで銀賞を受賞しました。海外でもいち早く価値を認めていただいています。

世界の先頭を行く路面発電、実証試験は順調に進む

弊社が進めるもうひとつの大きなプロジェクトに、路面発電があります。周知のように、この十数年で家屋や森林に太陽光パネルは無数に設置されていきました。私は自然エネルギーの推進自体には賛成するものの、早い時期から「パネルを貼る場所は道路」だと公言していました。屋根はともかく、CO2を吸収する森林を伐採する手法に、どこか矛盾を感じていたからです。それであれば、既に開発が進み膨大な面積を確保でき、そのままでは何も生まない道路を使うべきだという発想です。

正直、私の懸念は長い間、共感は得られませんでした。しかし密かに開発を進めていた舗装材への理解も進み、2年半ほど前からNIPPOと共同で実証実験を行うまでになりました。現在、重機を積載した20トントレーラーが通過しても破損しないという成果が得られています。この分野では海外にライバルも存在していましたが、重量物に対応できず計画が止まっていると聞いています。さらに発電した電気は弊社の看板商品であるG-CROSS(リフィルバッテリー式発電機)に蓄えられ、夜間の照明に使われます。こうした仕組みによる「スマート道路」が世界中に普及する日も遠くないはず・・・私はそう確信しています。

協業の理由

なぜENEOSなのか

ENEOSとMIRAI-LABOは視界が同じ、初顔合わせで「頭が開く」

ENEOSさんは日本最大のエネルギー供給会社です。これまでは石油を中心にモビリティの動力源となる燃料を販売し、社会を支えてきました。そうした会社が環境をテーマに掲げ、未来予測を行いながら新事業を展開されている。その取り組み自体はニュースとして知っていましたし、弊社とのシナジーも生み出せると感じていました。“THE REBORN LIGHT”のプロジェクトでも意識していたように、要素技術だけ持ち合わせても世の中にはなかなか普及しません。世界的に影響力のある企業との提携は、戦略的に必須だと考えていました。

そんな時にタイミング良く、ENEOSさんのほうからご縁を伝ってお声がけいただいたのです。最初にお会いしたのは片山さんでした。もう初見から話が爆発、「頭が開いた」という感覚です。日ごろから同じ目線で同じテーマを考え続けているのだと、嬉しくなりました。ミーティングでは、「明日はこんな見込みです、売上はこうなります」などの会話はまったくしていません。冒頭に述べた弊社のコンセプトにある「100年後」の地球環境のために、今日は何をするか、10年後はどうあるべきかなど、長期的視野の議論がメインでした。

何をやるか、どこを目指すか。ENEOSはどこよりも明快だった

率直に申し上げて、自社への技術移転を目的とした協業依頼は良くあります。しかしながら弊社の知財戦略とはマッチしない上に、シナジーを生まない協業は自然と崩壊してしまいます。もっと言えば、技術を簡単に転用されるのであれば、弊社はそれだけの企業だと言えるでしょう。現実的には3つのコア技術を基盤とするグランドデザインは、MIRAI-LABOにしか描けません。照明やリチウムイオン電池、ソーラーパネルなど部材に特化した企業は多数ありますが、それぞれ単体では100年後の未来づくりは困難です。

不思議なもので、オファーをいくら受けても自社のコンセプトが確立されていない企業とは話が進みません。その点、「世界観」を合言葉にしているENEOSさんとの相性はピッタリだったと思います。経営会議でも満場一致で「進めよう!」となりました。

自律型エネルギーによるMaaS社会、力を借りて実現を早めたい

今後はENEOSさんの力を借りて、実証試験から普及までのスピードを上げていきたいと願っています。仮にガソリンスタンドの照明や床材に弊社の製品を導入していただければ、世の中へのインパクトは相当なもの。量産効果も一気に進むと思いますし、何より省エネ技術を身近に感じられるメリットは計り知れません。

いま太陽光パネルこそ日常的に見かけるようになりましたが、実は部材に対して馴染みができたと言うだけで、そこで生まれた電気を直接使う体験はできていないのが現状です。電力会社を経由するのではなく、家一軒の単位で完結する自律型を目指すには、エネルギーとの付き合い方を学び直す必要があります。「ここしばらくは晴れの日が少なかったから、電気の使用を控えよう」・・・そんなライフスタイルが定着したとき、自律型のエネルギー社会が実現したと言えると考えています。100年後の人たちに迷惑をかけないためにも、一刻も早く普及のフェーズに持ち込みたい。ENEOSさんとならできると大いに期待しています。