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モビリティ

100年先の視点で、事業に覚悟を持つ。そんなENEOSなら、志を重ねることができる。

2020.10.27

インタビュー者紹介

株式会社Luup
代表取締役社長兼CEO

岡井 大輝 Okai Daiki

事業の概要

何を目指すのか

新しい交通インフラを作り、街の未来を救う

Luupは電動小型モビリティの会社です。事業の柱は二つ、ひとつは電動キックボードおよび高齢者向け電動小型モビリティの製造と普及に向けた活動です。これは日本にとってはまったく新しい移動手段となるので、安全性や効率性を検証しつつ、関係省庁と協議を重ねているところです。

そしてもうひとつの柱が、皆さんが慣れ親しんだ電動アシスト自転車の次世代型を開発し、街中にポート(駐輪場)を設けて提供するビジネスモデルです。ポートを既存のシェアサイクルの10倍から20倍の高密度で設置するところが大きな違いで、東京の渋谷区をはじめ6つの区で展開しています。

私たちが掲げている事業テーマは、「いかに早く、これからの日本に必要な新しい交通インフラをつくるか」です。このインフラというワードがLuupの肝であり、単に事業を拡大してEXITさせることが目的のベンチャーではありません。今後、日本の人口の1/3が高齢者になる中で、過疎化していく生まれ故郷をどう維持していくのか、あるいは都市部に人口を集約させていくのか。大きなグランドデザインを描く際に、移動という問題は常について回ります。最終的にはLuupのような電動モビリティが交通インフラとして普及していれば、街づくりそのものに柔軟性が生まれます。高齢者が危険を承知の上で車や自転車を運転するのではなく、専用の電動モビリティで誰の助けも借りずに安全に移動できる。そんな未来が来るまでLuupは走り続けますし、そうした意味では100年先を見越した希少なベンチャーであると自負しています。

電動キックボードは、いよいよ公道での実証実験へ

事業の進捗ですが、電動キックボードの領域では「実用化に向けての論点を洗い出し、検証を繰り返す」フェーズとなっています。日本の街中で日常的に使用する際の課題は、関係省庁も私たちも明確な答えを持っていません。意見の違いを摺り合わせるのではなく、実証試験を通して事実を明確にしていく形で進めています。たとえば車輪が小さくて安定性に欠けるという指摘には、逆にすぐ降車できるので安全、という事実も含まれます。

こうした論点がどんどん増えてきて、最終的に検証し尽くしてはじめて事業化のフェーズに入ります。ここまでにかなり時間がかかります。電動小型モビリティの価値を関係省庁に理解してもらうため、日本中の自治体を訪ね、ニーズをヒアリングして回りました。その数、半年間で30箇所にも及びます。現実問題として都市も地方もモビリティには悩みを抱えており、バスをはじめ既存の交通手段には限界が来ています。だから必要なら声を上げてくださいと伝え、共に推進する仲間になっていただけるよう対話を重ねていきました。

現在、ようやく私有地での安全性や有用性は確認できました。これからはいよいよ公道での実証試験を行う段階で、2020年の10月より東京の新宿区ほか千代田区、渋谷区、世田谷区の4エリアで実施していく予定です。議論の最終段階まで来ているとは思いますが、これから新しい論点が生まれる可能性もあります。

黒字経営はプロセスの一つ、それより優先したいことがある

Luupの事業は、シェアサイクルに特化すれば短期的な黒字経営はぐっと現実的になります。しかしインフラづくり、街づくりをミッションとする私たちは、Luupという企業を残すために事業を続けるのではありません。過去50年にわたって順調に成長してきたモビリティ業界が、いま猛烈な速度で変わりつつあります。世界の先進事例から3年は遅れている日本の交通インフラを、今後数年のうちに変革したい。だから黒字経営はプロセスのひとつと置き、その先にあるインフラ構築を急いでいます。スピードを速めるには、リスクを共有していただく事業会社やVCの存在は不可欠です。

協業の理由

なぜENEOSなのか

最短距離を走るには、最大手との協業が合理的

誰もが認める最大手のエネルギー企業と組んで、理想のシナリオを描く。そのほうが次の日本を作る上で最短距離を進めるはず、というのが1番の理由です。私たちモビリティ事業者にとって充電は大きな課題であり、現在は社内でのオペレーションに頼っています。しかし100年続くインフラを構築するには、充電などエネルギー供給はシンプルに統合するのがベストです。そこで日本中にエネルギー供給のインフラを持っている企業と組むという発想が出てきました。
繰り返しになりますが、Luupはモビリティの会社として勝ち残ることを目的としておらず、未来の街づくりがミッションです。そのゴールテープを早く切るために奔走しているのであり、既存のプレイヤーを追い詰めたり、不要の競争をする発想はもとより持っていません。そうした視野で考えると、シェアサイクルや電動キックボードへのエネルギー供給をすべて自前で行うのではなく、実績のある企業と協業するほうが合理的でスピーディであると判断しました。ただ最初は、ENEOSさんと仲良くできるかどうかは分かりませんでした。自らモビリティ事業を行う可能性も、充分あったはずですから。

視点がまったく違う、100年の覚悟を持つ企業だった

お会いしてすぐ感じたのは、VCやソフトウェア系の事業会社との「視点の違い」です。たとえばいま名の通っているソフトウェアの企業であっても、創業時に作ったプロダクトが商品ラインナップから落ちていることは良くあります。10年、20年と経つうちに、企業の存続に軸足が移されていった結果と言えるでしょう。しかし、エネルギー産業ではそれは許されません。1度始めたら、社会のために事業を残すことが責務であり、事業モデルの検討は念入りにされる必要があります。その時間軸の感覚が、他とまったく違うと思ったんですね。
もし私たちが5年で結果を出せと言われたら、たとえ10年で消滅するサービスであっても着手します。一方で50年、100年残る事業と言われたら、相応の覚悟がいる。ENEOSさんは、後者の環境で生きている方々だと実感しました。もっと言えば、そうした方々が私たちの志に共感していただけたのは、嬉しかったです。

ほど良い緊張感を保ちながら、関係を深めていきたい

いま私たちの姿勢として重要なのは、100年残るインフラの第一ステップを形にすることだと思っています。日本中への展開を進め、明確な成長を示す。その状況を作り上げた上で、そこから先のリスクを取っていただけるかどうかはENEOSさんの判断です。私たちは私たちのミッションのためにスピード感を持って走り続けます。一方で、ENEOSさんが求める時間軸や成長もあるでしょう。最近の打ち合わせでは、「良い緊張感を持ちましょう」と会話しています。とは言え、お互いに最善を尽くしていれば良いパートナーになっていくと楽観的に構えています。

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