ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社

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脱炭素社会・循環型社会

持続可能な農業、世界の食糧問題の解決。ENEOSと地方から世界の課題解決像を共有できた。

2021.03.04

インタビュー者紹介

AGRIST(アグリスト)株式会社
代表取締役 兼 最高経営責任者

齋藤 潤一 Saito Junichi

 

事業の概要

何を目指すのか

農業の100年先を見据えながら、収穫ロボットを開発

私たちアグリストは、自ら掲げたビジョンとミッションを達成するために存在します。ビジョンは「100年先も続く持続可能な農業を実現する」、そしてミッションは「テクノロジーで農業課題を解決する」。

現在はそれらの理念に基づき、宮崎県新富町においてピーマン収穫ロボットの実証実験を行っています。すでに2020年の4月より6台のロボットを販売しており、2021年には正式サービスを提供する予定です。

ロボット事業は、私が同町設立の「こゆ財団」代表に就任したことから始まりました。同財団では「稼げる地域商社」をテーマに置き、この「稼ぐ」の一環として2017年に「儲かる農業研究会」が発足。

私は農家から収穫におけるロボットの必要性を聞き続けていたので、強い危機感を感じていました。そこで取締役CTOの秦と出会いロボットの開発がはじまりました。農業は課題のひとつひとつが複雑に入り組んでいますが、収穫の担い手不足という現場課題にフォーカスすることが、持続可能な農業の実現に役立つと考えています。

脱炭素と省エネルギーも、農業における逼迫したテーマ

私たちはロボット開発に特化した企業ではなく、冒頭述べたように100年先までの持続可能性をビジョンに掲げたテクノロジーで農業課題を解決するベンチャーです。

したがって脱炭素も視野に入れた活動をしています。たとえばビニールハウスはガスや灯油を大量に消費しますが、エネルギー源を太陽光に変えることで世界の潮流にも乗ることができます。またロボットのバッテリーも太陽光による蓄電を試みています。

このビニールハウス+太陽光発電という切り口で言えば、いまがチャンスと捉えています。農家の平均年齢は67歳、まさに世代交代の時期。買い替え需要を見越して新しい営農型発電システムをパッケージ化すれば、事業としても市場寡占を狙えます。

ただし同じ九州、同じ作物の栽培でも地域差がある農業においては、カスタマイズは重要。そこは専用のソフトウェアを開発することで、データを分析しつつ個別対応していく予定です。

日本の農業モデルを世界に展開、世界市場における先駆者となる

アグリストの1つの夢、それは「脱炭素の農業モデル」の世界への輸出です。たとえばアフリカの砂漠のど真ん中、いまは農業など考えられない場所に、アグリスト製の営農型太陽光発電のパッケージを展開する。これにより農業課題の解決のみならず、世界市場の独占までも視野に入ります。

補足しますと、「農業モデル」の中心となる価値は、日本で私たちが培った知恵そのものです。農家の声を直接聞きながら、農地の隣で開発するスタイルが私たちの最大の強み。ここ新富町では素早く実証実験ができるだけでなく、町民の皆様の農業を応援する姿勢にも大きく助けられています。

しかしながら世界に知恵の共有とは言っても、日本のチームが直接出向いていって全て整備するかと言えば、それは違います。

日本と同様に現地には現地の文化があり、私たちはそれを尊重しながらプロジェクトを行っていきたいと考えています。現実的には現地のパートナーや国連やJICAと提携することになるかもしれません。

重要なのは、私たちはNGOやNPOではないという立ち位置です。ボランティアとして支援団体の資金を消費していくだけでは、事業の継続は行き詰まります。あくまで持続可能なビジネスとしての自覚が必須と言えるのです。

協業の理由

なぜENEOSなのか

天の采配のようなタイミング、初対面の一瞬でわかり合える

そもそものきっかけは2019年の11月のこと。宮崎で開かれた新富アグリバレーサミットにENEOSの関氏が出席され、私と太陽光発電などの話で盛り上がりました。

ちょうどビニールハウスでの太陽光発電の活用に強い関心を持っていた時期です。温暖化が進む中で、ビニールハウスのエネルギー戦略を思い悩んでいたんですね。もうタイミングもピッタリで、引き寄せという言葉が思い浮かんだくらいです。その時、彼と話したのはほんの僅かな時間でしたが、「一瞬で繋がった」と強く印象に残っています。

しかし当初は、出資をお願いするとは考えていませんでした。当社の取締役 兼 最高執行責任者の高橋がENEOSさんに出向き、帰って来るなり「一緒に事業をやりたいです!」と私に訴え、その勢いに乗る形でスキームをまとめていきました。

関氏にも何回も新富町に来ていただき、地元の農家らとの勉強会にも参加されました。アグリストの事業展開は町との連携抜きには語れませんが、ENEOSさん側に「町と連携する」意識があったのも幸いでした。

圧倒的なスピード感に驚きながら、協業の話が一気に進む

私は企業を一隻の船だと考えています。乗組員の目指す方向が異なると、最悪の場合、船は沈んでしまいます。だから私はアグリストの乗組員については厳選しました。

その点、ENEOSさんとは早い時点で未来を共有できたことが非常に良かったと思っています。方向性さえ同じであれば、太陽光発電やロボットなど手段は多彩でも、最後は必ず港にたどり着けるわけです。

実のところ、2020年にはスタートアップの分野で8つも賞をいただいたおかけで、多くの企業から出資や協業のお声がけをいただきました。しかしながら目指す未来が噛み合わず、お断りしたケースも結構ありました。

一方でENEOSさんは関氏の上司である島貫氏、さらに部門トップの矢崎氏にいたるまで、熱い想いと圧倒的なスピード感で向き合っていただけました。ホールディングスの副社長さんまで新富町に来訪いただき現場意識と危機感の高さに驚かされました。この人たちとなら世界をもっと良くできる・・・!ENEOSの人と話すたび、そう本気で思えるようになっていきました。

収穫ロボットを日本中に浸透させ、世界の視線を新富町へ

これから先の計画ですが、まず1年後は宮崎を中心に収穫ロボットが多数稼働しており、稼げる農業を実現。そして全国展開に向け、社を挙げて邁進する予定です。

次に3年以内に全国のピーマンの主要産地に収穫ロボットが展開され、DXイノベーションを現場で体感できるようになっていて欲しいと思います。

その昔、耕運機が実用化された頃は「何だあれは!」とびっくりされたものですが、現在は普通の道具となっています。それと同じように、収穫ロボットも「自動収穫機」と呼ばれているかもしれません。そして2024年には上場を予定しています。

その頃にはソフトウェアの開発やAIビッグデータの活用まで含め、世界展開の準備を整えていることでしょう。世界の農業関係者が新富町に視察に来る、そんなシーンを想像しています。先進技術の実証都市が多数ある中で、新富町はもっとも面白いエリアになっていると思います。

農家の想いと世界の食糧事情、胸に携えながら未来を拓く

アグリストと比べたら、ENEOSさんは巨大企業であり、そのグループにおいてイノベーションパートナーズは「未来へのハブ」と認識しています。

同社が未来を創造していく上で、ある部分は私たちアグリストと提携したいと思っていただき、選ばれるような存在でありたい。

また私たちのほうもENEOSさんに依存するのでは無く、農業課題を解決できる存在として、100年先を見据えた活動を貫いていく決意です。「このままでは農業は続かない」という農家さんの言葉は、いまもずっと心に残っています。

現在、世界の人口の9人に1人、約8億人が飢餓に瀕していると言われています。4人に1人は深刻な栄養不足状態です。

その大きな問題を少しでも解決し、人類の進化に貢献できたら嬉しいと思います。全国各地の農家さんの思いに応えつつ、世界の食糧供給にも貢献していく未来。実現できる日は、そう遠くはないと信じています。

photo by Yuta Nakayama

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