ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社

  1. トップ
  2. 事業紹介
  3. プラスチックリサイクルのエコシステム実現

事業紹介プラスチックリサイクルのエコシステム実現

循環型社会

プラスチックリサイクルのエコシステム実現


「捨てない」社会を目指して
プラスチックリサイクルのエコシステム実現

担当者近影

担当者紹介

小倉 俊Ogura Shun

入社以来、鹿島製油所にてプロセスエンジニアとして、6年間パラキシレンなどプラスチック原料となる製品の製造に従事。2019年より、廃プラスチックのリサイクルやブルーカーボンを中心に、低炭素・循環型社会の実現を目指している。

近年、海洋プラスチックごみ問題など、廃プラよる環境汚染が深刻な社会課題として認識されるようになってきました。同時に、廃プラの輸入禁止を掲げる国が増えており、各国の規制は今後も厳格化される見通しです。この影響を受け、日本国内では、処理しなければならない廃プラの量が処理場のキャパシティを超える、といった状況が生じました。その結果、本来はリサイクル可能な廃プラさえも焼却あるいは埋め立てられてしまうという、環境問題の解決とは相反する状況に陥っています。
2014年の入社以来、私は製油所のプロセスエンジニアとして、プラスチック原料の1つであるパラキシレン(ポリエステル繊維やペットボトルの材料として使われます)の生産に携わっていました。一方で、製油所主催の植林活動において、地域の地面を掘り返すと古いビニール袋やペットボトルがたくさん出てくるなど、プラスチックの環境不適応性を体感したこともありました。
最近は、プラスチック代替素材の開発やレジ袋削減による環境負荷低減の動きが盛んです。こういった動きは大切ですし、進めて行くべきだと思います。

ただ、私個人としては、燃料や素材として、石油の利便性を代替するものはなかなか無いのでは、というのが正直な思いです。環境のために利便性を完全に捨て去る、といった決断はできないと思います。
また、資源調達・製造工程など、物事を全体で考えた時に、それらが本当に環境にとって優しいのだろうか、利便性を捨て去るだけの環境負荷低減効果が得られるのだろうか、といった点はいつも気になります。ですから、自分達が何か新しいことを始める際には、そこもきちんと評価した上で進めて行きたいという思いもあります。

石油を取り扱うENEOSとしても、一個人としても、今捨てられているプラスチックをリサイクルする、という社会課題に立ち向かっていきたい。そして、課題解決のためには、石油精製の知見が活かせることもあるのではないか?と思うに至りました。そして、2019年の夏から、廃プラの油化技術の開発を核とした、リサイクルモデルの創出というテーマに取り組んでいます。

コンパス

ENEOS×プラスチック

ENEOSは、プラスチックの材料の生産を手がける化学メーカーの側面もありますが、もともとは、石油元売として、140年以上もの長きにわたり、日本国内を中心とした石油製品の安定供給という役割を担ってきた企業です。そのため、原油に含まれているあらゆる成分を取り扱える点が私たちの大きな強みといえます。廃プラの主なリサイクル手法として「マテリアルリサイクル」「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」が挙げられますが、今私が取り組んでいるのは「ケミカルリサイクル」により、廃プラスチックを油の状態に戻す技術(油化技術)です。

ケミカルリサイクルの概念

現在のケミカルリサイクルのプロセスにおいては、汚れた廃プラを扱うことはできません。汚れと一言にいっても、油性の汚れもあれば、金属が含まれた汚れなど、その成分は様々であるためです。しかし、油田から採掘されたままの原油は、いうなれば極めて汚れた物質。原油を精製するうえでの不純物を取り除く技術が、油化した廃プラの純度を上げるために応用できると考えています。
2020年時点において、廃プラが油化されているケースはほとんどありませんが、10年以内に国内の廃プラの1割を油化することが目標です。油化されたプラスチックの活用は、環境負荷の低減のみならず、日本におけるエネルギー自給率の向上にも資するものとして期待できます。

国内の廃プラの1割を油化する概念

活動事例

油化技術を核とした持続可能な廃プラリサイクルモデル構築

背景・取り組みの内容

足下では、廃プラの収集スキームと油化技術の両面から調査を進めています。
まず、廃プラのリサイクル事業のビジネスモデルを検討する中で、事業を継続的に行えるほどの収益を得るためには、一定規模の廃プラを安定して確保する必要がある、ということが分かりました。しかし、廃プラは特定の地域で発生するわけではなく、あらゆるところに分散していることが課題です。そのため、日本国内で廃プラを排出している企業との提携を模索すべく、関係者へのヒアリングを実施しています。多くの企業は、昨今のSDGsの流れも踏まえて「できることなら自社から出る廃プラをリサイクルしたいが、それを実現できる技術・仕組みがない」との悩みを抱えており、課題解決のニーズは確実にある、という手応えを感じています。また、収集を担ってくれる企業や、収集の仕組みをともに構築して下さる企業の方にもアプローチできればと思っています。
油化技術については、油化プロセスの実証機を2021年に稼働させることを目指しています。すでに複数の技術について調査はしていますが、異物・多種類プラが混合している廃プラの油化技術をスケールアップさせたい、という想いを抱えた企業の方とぜひ連携したいと考えています。

今後の展開

石油精製で長年培った技術とノウハウを最大限活かしながら、石油由来の素材であるプラスチックを、より環境に優しく、無駄なく活用するための方法を見出し、社会に新たな価値を提供していくこと。これが、ENEOSのアイデンティティであり、同時に責任でもあると感じています。廃プラ収集のノウハウをお持ちの皆様、油化技術をお持ちの皆様、ぜひ、私たちとともに、新たなプラスチック活用のエコシステムを作っていきましょう。